競馬中継を見ていると、最後の直線で後方から一気に伸び、前を走る馬たちをまとめて追い抜く場面があります。
このように、レース前半から中盤を後方で進め、終盤の末脚に勝負をかける馬が追い込み馬です。
追い込み馬の豪快な走りは見応えがありますが、速い上がりを使えるからといって、毎回ゴールまでに届くとは限りません。
前方の馬との距離、レースのペース、直線の長さ、馬群の広がり方など、複数の条件がかみ合って初めて、持っている末脚を結果につなげられます。
この記事で分かること
この記事では、追い込み馬の特徴を整理したうえで、末脚が届きやすい展開や届かないパターン、競馬予想での狙い方を分かりやすく解説します。
追い込み馬を見るときは、末脚の速さだけでなく、「その脚が届く展開になるか」まで考えることが大切です。
競馬の追い込み馬とは?
追い込み馬とは、レースの前半から中盤を後方で進み、最後の直線やゴール前で一気に順位を上げる脚質の馬です。
スタート直後から先頭を狙うのではなく、自分のリズムを守りながら走り、道中では終盤に使う体力を温存します。
そして、3~4コーナー付近から徐々に進出するか、最後の直線へ入ってから加速し、前方の馬を追い抜いていきます。
追い込み馬の基本的なレース運び
ただし、競走馬の脚質には厳密な境界線があるわけではありません。
同じ馬でも、スタートの成否、枠順、出走メンバー、レースの流れ、騎手の判断によって、普段より前方で走ったり、さらに後方から進めたりすることがあります。
追い込み馬の主な特徴
追い込み馬の大きな武器は、レース終盤に使える瞬発力と末脚の持続力です。
逃げ馬や先行馬が前半から体力を使うのに対し、追い込み馬は後方で脚をためます。前方の馬が終盤に失速したところで加速し、一気に差を縮めるのが基本的な形です。
| 特徴 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|
| 後方で脚をためる | 終盤まで体力を残しやすい | 前方との差が大きくなりやすい |
| 速い末脚を使う | 直線で順位を大きく上げられる | 進路がなければ加速できない |
| 展開を利用する | 前方が失速すると浮上しやすい | スローペースでは届きにくい |
| 上がり上位になりやすい | 末脚の能力を数字で確認できる | 上がり最速でも負ける場合がある |
上がり3ハロンが速くなりやすい
レースの最後から600メートルの走破タイムを、一般的に上がり3ハロンと呼びます。
追い込み馬は前半に体力を温存するため、上がり3ハロンで出走馬の中でも上位のタイムを記録しやすい脚質です。
しかし、上がり最速を記録しても、直線へ入った時点で前方との差が大きすぎれば届きません。
追い込み馬を評価するときは、上がりタイムだけでなく、どの位置から末脚を使い、最終的に何着まで順位を上げたのかも確認しましょう。
差し馬と追い込み馬の違い
差し馬と追い込み馬は、どちらもレース終盤に前方の馬を追い抜く脚質です。
主な違いは、レース中に走る位置と、前方の馬との距離にあります。
| 比較項目 | 差し馬 | 追い込み馬 |
|---|---|---|
| 道中の位置 | 主に中団付近 | 主に後方付近 |
| 仕掛ける位置 | 直線手前から進出することが多い | 終盤に大きく加速することが多い |
| 前方との差 | 比較的小さい | 大きくなりやすい |
| 展開の影響 | 受けるが位置取りで補いやすい | 強く受けやすい |
| 必要な能力 | 加速力・進路取り・持続力 | 強い末脚・持続力・展開への対応力 |
差し馬は中団付近から前を狙うため、追い込み馬よりも前方との差を小さく保ちやすい脚質です。
追い込み馬はさらに後方から進むため、多くの馬を追い抜く必要があります。その分、強力な末脚に加え、末脚を長く維持する能力も求められます。
! 出馬表の脚質だけで決めつけない
「差し」「追い込み」という表示だけでは、実際の位置取りを正確に判断できない場合があります。過去数走の通過順位も確認しましょう。
差しと追い込みに明確な境界線がない場合もあります。名称よりも、実際の通過順位と仕掛ける位置を確認しましょう。
追い込み馬が届きやすい展開とは?
追い込み馬が届きやすいのは、前方を走る馬が終盤に失速し、後方の馬が差を縮められる展開です。
特に確認したいのが、レースのペース、逃げ・先行馬の頭数、直線の長さ、馬群の広がり方です。
追い込み馬が届きやすい主な条件
ハイペースで前方の馬が消耗する
逃げ馬や先行馬が多く、序盤から先頭争いが激しくなると、前半のペースが速くなる可能性があります。
前方の馬が早い段階から体力を使えば、最後の直線で速度が落ちやすくなります。
一方、後方で脚をためていた追い込み馬には余力が残っているため、終盤に前後の差が一気に縮まります。
逃げたい馬が複数いる
先頭に立ちたい逃げ馬が複数いるレースでは、スタート直後から位置争いが激しくなる場合があります。
内枠の馬が先頭を守ろうとし、外枠の馬が前へ出るために脚を使うと、自然にペースが速くなります。
ただし、逃げ馬が複数いるだけで、必ずハイペースになるとは限りません。互いにけん制し、予想より遅い流れになることもあります。
| 出走メンバー | 考えられる展開 | 追い込み馬への影響 |
|---|---|---|
| 逃げ馬が複数 | 先頭争いが激しくなる可能性 | 前方が消耗すれば届きやすい |
| 先行馬が多い | 好位置を巡る争いが起こりやすい | 先行勢が崩れると浮上しやすい |
| 逃げ馬が1頭 | 自分のペースで逃げる可能性 | スローペースなら届きにくい |
| 前へ行く馬が少ない | 落ち着いた流れになりやすい | 位置取りの差を埋めにくい |
最終直線が長いコース
直線が長いコースでは、追い込み馬が加速してから前方との差を縮める時間を確保できます。
直線へ入った時点で後方にいても、速い末脚を長く使える馬なら、ゴールまでに追いつける可能性があります。
反対に、直線が短いコースでは、本来の末脚を発揮する前にゴールを迎えてしまうことがあります。
ただし、直線が長いだけで追い込み馬が有利になるわけではありません。スローペースで前方の馬に余力があれば、直線に入ってから先行勢も速い脚を使えるためです。
直線の坂にも注意する
ゴール前に上り坂があるコースでは、前方の馬が失速し、追い込み馬が差を縮める場合があります。
しかし、坂の負荷は追い込み馬にもかかります。平坦なコースで切れ味を発揮する馬が、坂で勢いを失うこともあります。
直線の距離だけでなく、坂の有無や、その馬が坂のあるコースで好走しているかも確認しましょう。
馬群がばらけて進路を確保できる
追い込み馬は後方から多くの馬を抜くため、直線で進路を確保できるかが重要です。
ハイペースによって馬群が縦長になり、直線で各馬がばらければ、前が壁になる危険が小さくなります。
反対に、スローペースで馬群が一団になっていると、直線へ入っても前後左右を囲まれ、仕掛けが遅れる場合があります。
! 外へ出せば必ず伸びるとは限らない
外側へ進路を取ると前を塞がれにくくなりますが、コーナーや直線で外を大きく回れば、走る距離が長くなる点にも注意が必要です。
前方の馬が止まりやすい馬場
馬場状態やコースの使用状況によっては、前方の馬が終盤に失速しやすくなることがあります。
開催が進んで内側の芝が傷み、外側を通る馬が伸びやすい状態では、後方から外へ持ち出す追い込み馬が浮上する場合があります。
ただし、重い馬場がすべての追い込み馬に向くわけではありません。
馬場が悪くなると加速に力が必要になり、軽い走りで切れ味を発揮する馬は、本来の末脚を使えないことがあります。
当日のレースで確認したいこと
早めに動ける追い込み馬
追い込み馬の中でも、最後方のまま直線勝負にかける馬と、3~4コーナーから徐々に位置を上げる馬がいます。
直線へ入る前から動ける馬は、前方との差を小さくした状態で末脚を使えるため、展開に左右される危険を抑えられます。
特に直線が短いコースや小回りコースでは、コーナーから進出できる機動力が重要です。
追い込み馬にとって理想的なのは、前方が消耗し、自身は進路を確保して加速できる展開です。
追い込み馬が届かない展開とは?
追い込み馬が速い末脚を使っても、前方との差をゴールまでに埋められないことがあります。
追い込み馬の敗因を考えるときは、「末脚が不発だった」のか、「末脚は使ったが展開的に届かなかった」のかを分けることが重要です。
追い込み馬が届かない主な原因
スローペースで前方の馬が止まらない
追い込み馬にとって特に厳しいのが、前半から中盤までゆっくり流れるスローペースです。
逃げ馬や先行馬が体力を温存すると、最後の直線でも速い脚を使えます。
追い込み馬が上がり最速を記録しても、前方の馬も同じように加速すれば、最初からあった位置の差を埋められません。
| ペース | 前方の馬 | 追い込み馬 |
|---|---|---|
| ハイペース | 前半から体力を消耗しやすい | 終盤に差を縮めやすい |
| 平均ペース | 能力や位置取りの影響を受ける | 末脚と仕掛け方が重要 |
| スローペース | 終盤まで余力を残しやすい | 位置の差を埋めにくい |
直線が短く仕掛けが遅れる
直線が短いコースでは、最後のコーナーを回ってからゴールまでの時間が短くなります。
後方のまま直線へ入ると、追い込み馬が加速して速度に乗ったところでゴールを迎える場合があります。
このようなコースでは、最後方から直線だけで追い込む馬よりも、コーナーから位置を上げられる馬のほうが対応しやすくなります。
馬群の中で前が壁になる
追い込み馬は後方から多くの馬を抜かなければならないため、進路が塞がれる危険があります。
手応えに余裕があっても、前方や左右をほかの馬に囲まれると、加速するための進路を確保できません。
進路が開いてから伸びても、仕掛けが遅れた分だけ届かない場合があります。
内枠が必ず有利とは限らない
内枠は走る距離を短くしやすい一方、後方へ下がった場合は馬群に包まれる可能性があります。
外枠は距離のロスが生じやすいものの、直線で外へ持ち出しやすく、進路を確保しやすい場合があります。
追い込み馬の枠順を見るときは、内外の有利・不利だけでなく、どの位置でレースを進める可能性があるかを考えましょう。
! 大外を回すと走る距離が長くなる
外側は進路を確保しやすい反面、コーナーから大外を回ると距離のロスが大きくなります。前方との差と外を回るロスの両方を埋める必要があります。
後方すぎる位置取りになる
同じ追い込み馬でも、中団後方から進める馬と、最後方付近まで下がる馬では、ゴールまでに追い抜かなければならない頭数が異なります。
スタートで出遅れたり、序盤に行き脚がつかなかったりすると、想定より後ろの位置になることがあります。
直線へ入った時点で先頭との差が大きすぎれば、能力の高い馬でも届きません。
過去のレースを見るときは、着順だけでなく、スタート直後の位置や各コーナーの通過順位も確認しましょう。
馬場状態が末脚に合っていない
追い込み馬には、軽い馬場で鋭く加速する馬もいれば、力の必要な馬場で長く脚を使える馬もいます。
雨で馬場が重くなると、地面を蹴って加速するために大きな力が必要です。切れ味を武器とする馬は、いつもの末脚を発揮できない場合があります。
一方、パワーやスタミナに優れた追い込み馬なら、前方の馬が疲れたところで浮上する可能性があります。
上がり最速を過大評価しない
過去の成績で上がり最速が並んでいると、強い末脚を持っているように見えます。
しかし、後方でゆっくり走ったことで体力が残り、最後だけ速い脚を使えた可能性もあります。
上がり最速でも着順をほとんど上げられていない場合は、末脚を結果につなげるための位置取りや機動力に課題があるかもしれません。
上がりタイムと一緒に確認する項目
速い上がりを使って負けた馬は、能力不足とは限りません。展開・位置取り・進路のどこに原因があったかを確認しましょう。
追い込み馬を競馬予想で狙う方法
追い込み馬を予想に取り入れるときは、上がりタイムだけで判断せず、今回のレースで末脚を発揮できる条件がそろうかを順番に確認します。
STEP1 過去の通過順位を確認する
過去数走の通過順位を確認し、実際にどの位置からレースを進めているかを調べます。最後方から直線勝負にかける馬なのか、コーナーから位置を上げられる馬なのかを見分けましょう。
STEP2 逃げ馬と先行馬の数を確認する
前へ行きたい馬が多ければ、ペースが速くなる可能性があります。逃げ馬の頭数だけでなく、先頭にこだわる馬がいるかも確認します。
STEP3 コースの特徴を確認する
最終直線の長さ、坂の有無、コーナーの形を確認します。直線が短い場合は、コーナーから動ける機動力があるかを重視しましょう。
STEP4 同じ条件でのレース内容を確認する
同じ競馬場や似たコース、同じ距離や馬場状態で、どの位置からどのように伸びたかを確認します。着順だけでなく、末脚を使えた距離にも注目します。
STEP5 当日の馬場傾向を確認する
前のレースで逃げ・先行が残っているのか、外から差す馬が伸びているのかを確認し、後方から届く馬場になっているかを判断します。
過去の着順よりレース内容を見る
追い込み馬は展開の影響を受けやすいため、着順だけでは能力を判断しにくい脚質です。
前走で着順が悪くても、スローペースの中で後方から差を縮めていた場合や、直線で進路がなく仕掛けが遅れた場合は、見直せる可能性があります。
着順以上に評価できる内容
前が止まらない展開で、後方から大きく差を縮めている。
次走で改善できる敗因
直線で前が壁になり、進路が開いてから伸びている。
展開に恵まれた可能性
極端なハイペースで前方の馬がすべて失速している。
注意したいレース内容
上がり最速でも着順や前方との差をほとんど詰めていない。
コース替わりで狙える追い込み馬
前走と今回でコースの特徴が変わる場合は、追い込み馬の評価も変わります。
| コース替わり | 考えられる変化 | 確認するポイント |
|---|---|---|
| 短い直線から長い直線へ | 末脚を使える距離が長くなる | 前走で差し届かなかった内容 |
| 小回りから広いコースへ | 進路を確保しやすくなる | 広いコースでの過去成績 |
| 平坦から坂のあるコースへ | パワーやスタミナが必要になる | 坂で末脚を維持できるか |
| 良馬場から重い馬場へ | 切れ味を発揮できない可能性 | 道悪での走りとパワー |
前走の着順が悪くても、今回の条件が末脚を発揮しやすいコースへ変わるなら、評価を上げられる場合があります。
人気が下がった追い込み馬にも注目する
追い込み馬は、展開が合わずに着順を落とすことがあります。
前走で追い込みが届かなかったという理由だけで人気を下げている場合、今回のペースやコースが合えば巻き返す可能性があります。
一方、前走で豪快に追い込んで好走した馬は、その印象によって人気が上がることがあります。
前走が極端なハイペースで展開に恵まれていた場合は、今回も同じように追い込みが決まるとは限りません。
! 豪快な追い込みの印象だけで評価しない
前走で追い込みが決まった理由を確認し、今回も同じペース・コース・馬場になりそうかを考えましょう。
追い込み馬に関するよくある質問
Q.追い込み馬と差し馬の違いは何ですか?
どちらも終盤に前方の馬を追い抜く脚質ですが、差し馬は主に中団付近、追い込み馬はさらに後方からレースを進めます。ただし、明確に区別できない場合もあります。
Q.追い込み馬は直線が長ければ必ず有利ですか?
必ず有利になるわけではありません。直線が長くても、スローペースで前方の馬に余力があれば届かないことがあります。直線の長さとペースを組み合わせて考える必要があります。
Q.上がり最速の追い込み馬は次走で狙えますか?
上がり最速だけでは判断できません。どの位置から末脚を使ったのか、着順をどこまで上げたのか、今回のコースで同じ脚を使えそうかを確認しましょう。
Q.追い込み馬は外枠のほうが有利ですか?
外枠は直線で進路を確保しやすい場合がありますが、外を回ることで距離のロスが生じます。内枠でも馬群をさばける馬なら好走できるため、枠順だけで決めつけないことが大切です。
Q.重馬場では追い込み馬が有利になりますか?
前方の馬が消耗すれば追い込みが届く場合もありますが、重い馬場では加速に力が必要です。道悪を得意とするパワー型か、軽い馬場で切れ味を発揮するタイプかを確認しましょう。
まとめ
追い込み馬は、レース前半から中盤を後方で進め、最後の直線で速い末脚を使って前方の馬を追い抜く脚質です。
豪快な追い込みは魅力的ですが、後方から多くの馬を抜く必要があるため、レースのペースやコース、進路取りの影響を強く受けます。
追い込み馬を予想するときのポイント
追い込み馬を狙うときは、「末脚が速いか」だけでなく、「その末脚を発揮できる位置と展開になるか」を考えましょう。
前方の馬が消耗する流れや、長い直線、進路を確保しやすい条件がそろえば、追い込み馬の持ち味を活かしやすくなります。
反対に、スローペースや短い直線では、どれだけ速い上がりを使っても届かない可能性があります。
過去の通過順位、上がりタイム、コース適性を組み合わせて確認することで、着順だけでは分からない追い込み馬の狙いどころを見つけやすくなるでしょう。
追い込み馬は、「末脚・ペース・位置取り・コース」の4つをセットで確認するのがおすすめです。


























